ロシアのネットで起こっている事
ロシアのネットと言うと中国顔負けの監視が行われているイメージがあるが、実は普通に見たり使ったりしている分には実は日本以上に自由な雰囲気に満ちていると言ったら驚くだろうか。恐らくこれはロシアでネットが普及したのが欧米や日本よりも遅れたせいもあって、まだ規制が始まる前の大らかな時代がまだロシアでは続いているからだと思う。かつてはアメリカでも日本でもネットの中は皆知り合いばかりで、規制も何も無く、時々とんでもないイタズラがあったり、平気でソフトや映画などが共有されていた時代があったが、まさにそんな雰囲気がまだロシアのネットには残っている。
だが、それももう終わるのかもしれない。以前、Togetterでもまとめたようにロシアでは様々な法律でネットの規制が始まっている。その発端となった「未成年に対する同性愛の宣伝の禁止法」では、まだ公共の場での同性愛プロパガンダ禁止法と同時に、信仰を侮辱した罪に対する罰則も強化(これでも十分問題だが)にとどまったが、ついに今度「健康および発育に有害な情報から児童を保護する」と言う口実でロシア議会下院でインターネット検閲法が審議され、もしこれが可決されれば全インターネットにおいて卑猥な言葉を用いたSNS上の表現には警告が発せられ、24時間以内にページが削除されない場合は閲覧がブロックされ、ブラックリストに登録されると言う。(ソース)そして問題は政府の検閲だけにとどまらない。ロシアのネットではこれに便乗してOccupy Pedophilyaj運動という自称小児性愛者を特定・報告する自警団がSNSの偽のプロフィールでゲイなどの性的マイノリティを特定しビデオやメールなどのプロフィールを公開され自殺などに追い込まれる事態が発生しているという、しかもこの自警団子供を守ると言う名目を掲げているものの実際には普通の同性愛者をターゲットにしているのだ。
ここまではまだ対岸の火事かも知れない。しかし日本でもネット規制の動きは着々と進んでいる。2008年6月には青少年ネット規制法が制定され、インターネット上の有害な情報から18歳未満の青少年を守ると言う口実で携帯電話にフィルタリングをつけることが義務化され、2012年11月1日には改正著作権法が施行されてそれまで罰則規定がなかった違法ダウンロードに罰則規定が追加され、今回の選挙前に自民・公明・日本維新の会が共同提出した児童ポルノ禁止法についても検閲目的では無いかと言う反対の声が上がっている。
そして日本でも問題は政府の規制にとどまらない。ロシアのような露骨な自警団はまだ無いものの、炎上や個人情報の特定などは頻繁に起きてるし、更にはマイノリティをターゲットに成りすましによる個人情報の特定や嫌がらせ、更にはアイドルグループのイベント会場に警備員を装って侵入し、嫌がらせや盗撮などをする事態も起きているようなのだ(注)。
ロシアで起きている事は明日の日本で起きることなのかも知れない。
注:NEWSのライブ中止で起きた混乱がネットで拡散し、その中で膨大な真偽不明の話が広まったが、その時広まった噂の中でも偽警備員の話が出て来たようだ。この件もそれに埋もれて真偽不明になってしまったが検証する術は無いのだろうか。
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