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April 03, 2016

世界を変える新製品の筈だった

 それは世界を変える画期的な新製品の筈だった。
最初にアイディアを思いついた博士は世界的なエンジニアでもあり優秀な学者でもあった。
博士は自分の部下の若手女性研究員に試作機を作らせた。彼女は若手ながら非常に評価の高い研究員だった。何より彼女は相手が本当は何を望んでいるかを読み取り、その期待にピンポイントで応える能力に長けていた。そのせいもあって彼女は常に優等生で誰よりも信任が厚かった。
試作機はテスト用なのでどんな状態でも100%確実に動く必要は無かったが、もし試作機で博士のアイディア自体が間違っていたと言う結果が出ればアイディアをゼロから見直す必要があっただけでなく、試作機を作るまでに投資した少なくない時間とお金は無駄になることを意味していた。
誰でもそうだがこうした状況ではどうしても贔屓目になってしまう。まして空気を読むのに長けていた彼女にとってはどうしても成功させたい作業だった。不幸なことに彼女は針の穴を通す確率で望んだ通りの結果が出る方法を発見した。だが後に判るのだがそれは正しい動作をしたのではなく、たまたまその方法だと一見正しそうな反応が帰ってくるだけの事だった。
試作機の結果はまず部署内そして会社内で絶賛された。何よりこの画期的な新製品が出れば文字通り世界を変えるものであり、会社にも莫大な利益と名声が入ってくる事を意味していたからだ。
社内では誰も試作機の結果に異議を挟むものは居なかった。仲間である彼女を信じていた事もあるし、何よりも新製品に浮かれる社内の空気に異議を挟める雰囲気では無かったからだ。
こうして新製品は発表された。たちまち会社の株価は跳ね上がり、多くの融資先が実用化のためにいくらでも金を出すと言ってきた。
だが試作機を公開すると段々妙な事になってきた。何度テストしても上手く動かないのだ。だが社内では見直す動きは出てこなかった。何よりもここで新製品に問題があればせっかく上がった株価も多くの融資も全てが白紙になる事を意味していたからだ。
そうしているうちにやがて雲行きはどんどん怪しくなり、新製品はインチキでは無いかと言う話になって来た。
会社の株価は暴落し取引先や融資先は次々に離れていった。彼女の周りも最初は社外、次に社内からも試作機の結果を疑う声が出て来始めた。彼女の直属の上司は製品を発表する前に止められなかった責任を感じて自殺した。
これまで彼女を絶賛していた社内では一転して全て悪いのは彼女のせいだとして会社から彼女を追放した。
それは彼女にとっては納得しがたい事だった。自分はこれまで通り相手が望む結果を出しただけだったのに今回に限って非難されたからだ。何より承服しがたいのは発表するまでは誰も疑念を挟まなかったのに、後になってから周りの人間が過去に遡って批判し始めた事だった。
こうして彼女は徹底抗戦することを決意した。会社の信頼は失われ、同じ分野の会社さえ風評被害を受けるようになっていた。

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