カテゴリー「アニメ・コミック」の21件の記事

July 16, 2012

女性ファッションやお化粧を知る必要性

 これを読んでふと思い出した事を書く。冒頭のLinkは女装に目覚めた人がそのノウハウを獲得していく話だが、実は女装趣味とは縁がなくてもこの手の知識を身につけたほうが良いジャンルが結構ある。それは別に弓月光の「甘い生活」みたいなランジェリーメーカーの様な話ではなく、イラスト・漫画・カメラマンとして女の子を描いたり撮ったりする場合だ。
 いろんな所で言われているように男性作家はここらへんが結構弱い、それでもちゃんと女の子を描けるならいいじゃないかと言われそうだが、やっぱりお化粧やファッションを知っていた方が引き出しは広がるし女性読者の受けもいい。そして長年のノウハウが蓄積されているだけあって、化粧法と言うのは顔を描いたり撮ったりするときにもとても参考になるのである。
 そして実際にこれまで仕事などで接したことのある一流のイラストレーターやカメラマンの方は、男性であっても実にこうした知識が豊富だった事を覚えている。だいぶ前の話だが、ある企業広告で予算が足りないという理由で社内で可愛い娘を使って撮ろうと言う話になった時、カメラマンの方がその娘よりもはるかにファッションやお化粧に詳しくて、結局その方のコーディネートで服や小物を選んだ事もあった。さすがにメイクや買い物指南はカメラマンの奥様がやっていたが、確かに選んだチョイスは完璧だった。
 そう言えば名前をだしていいか判らないので一応名は伏せるが、誰もが知っている有名マンガ家の方の家には、資料用にマネキンと様々な洋服や下着があると伺った事もある。

 とは言えここまで書いておきながら実は自分もこの部分はかなり弱い。いまだに洋服の名称を間違えて友人の娘に笑われたり、基本的なブランド名すら判らないのが実情だ。せめてファッション誌くらいはチェックすべきなのだろうが、結局めんどくささと気恥ずかしさで先送りになっている。

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July 08, 2012

まどかマギカ11話:暁美ほむら台詞対訳集(日露)

趣味丸出しだが、学習用の素材としてクリップ。

「本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ」
「だって、私は…私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!!」
「…私ね、未来から来たんだよ。何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、あなたが死ぬところを見てきたの」
「どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して」
「ごめんね。わけわかんないよね…気持ち悪いよね」
「まどかにとっての私は、出会ってからまだ1ヶ月も経ってない転校生でしかないものね」
「だけど私は…私にとってのあなたは…」
「繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。たぶん私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」
「あなたを救う。それが私の最初の気持ち。今となっては…たった一つだけ最後に残った、道しるべ」
「わからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい。それでもどうか、お願いだから、あなたを私に守らせて」

参照:魔法少女まどか☆マギカ WIKI - ネタバレ考察/台詞集/暁美ほむら


Ты вряд ли сможешь меня понять.
Хомура...
Потому что... я из другого времени!
Понимаешь, я пришла из будущего.
Мы с тобой неоднократно встречались... и каждый раз я видела, как ты умирала!
Я всё думала, как тебя спасти, как изменить судьбу?
Я раз за разом пытаюсь это понять!
Как же это...
Прости... Ты не понимаешь?
Я странно себя веду, да? Для тебя я всего лишь новенькая, которая перевелась месяц назад...
Но для меня...
Для меня ты...
Каждый раз, когда я возвращаюсь в прошлое, наши с тобой миры расходятся всё дальше.
Ты уже не понимаешь, что я говорю и чувствую...
Мне кажется, я потерялась где-то во времени.
Хомура...
Всё, чего я хочу, – это спасти тебя.
Это единственный путь, который у меня остался.
Пускай ты не понимаешь.
Пускай я не могу объяснить.
Всё равно...
Пожалуйста... позволь мне защитить тебя!

参照:Азиатско-тихоокеанский выбор - Диалоги об энтропии

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November 14, 2010

ちょっと気になるロシアの猫漫画

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「うわー!ごめんなさい。」
「ああ、どうしてここを歩くんだよ!
これ以上君がこんな風に突き回したら僕でも怒るぞ!」
「判った。もし本当なら… 今回は言ったとおり僕に怒らないでくれるとありがたいな。」


*ネットで見つけたちょっと気になるロシアの猫漫画。ロシア語の練習がてら一話だけ訳してみた。
Человек и Кот [Олег Тищенков]

*関連:既にニコニコ動画に訳を載せている人を見つけたので、他の話を読みたい人はこちらをどうぞ。

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November 08, 2010

いろいろ9

相変わらず小ネタを色々と。

・「乙嫁語り」を買った
漫画「エマ」で有名な森薫の新作「乙嫁語り」を購入。相変わらず面白いが舞台が中央アジア、カスピ海周辺と言う設定で趣味性が増してるな。それにしても魅力的な民族衣装や布の文様、建物のレリーフなどまで実に精密に書かれているのに感心する。手間を考えたらとてもじゃないが割に合わなさそうだが本当に作者が好きで描いてるのがよく判る。一コマ一コマ見てるだけで楽しくて読むと言うよりも眺める漫画と言う感じだ。日本では割に合わないから不可能だがフランスの漫画“バンドデシネ”の様に多少値段が高くなっても良いから全てのコマに彩色まで施して出して欲しいくらいだ。
それにしてもこの話を読んで弓が欲しくなると言うのは変な反応だろうか。

・自分の憧れは自己鍛錬系の趣味らしい
先ほどの「乙嫁語り」の延長ではないが、自分がもし弓を買ったら単に所有するだけでなく実際には挫折するにしても訓練しなくちゃいけないと思うだろう。ものを単に所有するよりも目に判るスキルまでも欲しくなるのだ。そうした意味で本当は自分は鍛錬系の趣味が好きなのだろう。ロシア語の勉強もその一環だし、ロードバイクもなんやかんや言って毎日ローラー台に乗り、週末には40〜50km位走っている。
本当は時間があれば武器を使う武術や楽器の演奏などもやりたいのだ。ただ実際には習得するまでの時間や労力を考えると、そう気楽には手を出せない。才能あふれる人間ならともかく非凡な自分には今の趣味だけでも能力を維持するのが精一杯なのだ。
それでもいつか時間が出来たら必ず挑戦してみたいと思っている。

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July 12, 2010

ムダヅモ無き改革のロシア人の評判を訳してみた

 ムダヅモ無き改革と言う漫画がある。小泉元総理やプーチン、ベネディクト16世といったそうそうたる面々が国際政治の場で麻雀で対決すると言う荒唐無稽なストーリーながら、キャラが異常に立っている事もあり一部でかなりの人気を集めている。内容が内容なだけに海外の反応が気になるところだが意外に評判は良いようだ
 だが気になるのは小泉に次いで人気がある(様に見える)プーチンを肝心のロシア人達がどう見ているかと言うことだ。残念ながら海外情報はこうしたアニメ・マンガネタであっても英語優勢なので肝心のロシアの反応はさっぱり判らないのである。
 そこでちょっと調べていたのだが、Из Японииと言うサイトでこのネタを取り上げてくれていることが判明した。そんな訳で拙い訳であるがそのコメント欄をちょっと紹介してみたい。

○プーチン&バチカン編
私にはメドヴェージェフが似てないように思うな。
確かに似てない。何というマッチョな男になってるんだ。メドヴェージェフはもっとキューピーちゃんだろ。
ああ、メドベージェフは確かにそんな感じ
作者は誰?
皆は私の事をティモシェンコに似てるって言うわ
それは萌えキャラだね
もしかしたら日本の誰かが我々のアネグドートのヴァシリー・イワノービッチやペーチカ、アンケなどもきっと漫画に書かれているに違いない。(訳者注:このアネグドートのネタを知らないので情報募集しています)
それは(マニアック過ぎて)無いんじゃないの(この部分の訳は自信なし)
*ここで速水螺旋人氏のマニアックなカットが貼られる(笑)
*さらにローマ教皇ベネディクト16世のカットが貼られる(笑)
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 最高!選ばれし者ここに登場。
大昔確か英語に翻訳されたような…
ティモシェンコで一番知られている事はおさげぐらいじゃないの
メドヴェージェフは全く似てないなー
ナザルバエフ(ティモシェンコにやられたカザフスタン大統領)の絵はもっと無いの?
おおざっぱな訳を外人の為に付けて欲しいわ
ふむ、НЭВЗのエンブレム(プーチンが九蓮宝燈を放つときのバックに書かれている電車のロゴ)は何の為に描かれたんだろう。殆ど(プーチンの空きスペースの対象として)付け足しの様なのだが。多分これ3nIかЭП1だろう。
我々のプーチンとメドヴェージェフはイコンだな。彼らの犯した罪は描かれたためしがない。残念だ。
ブブー(・∀・)
面白い!
ティモシェンコが怒ったシーンが恐ろしい(笑)
ところでポロニウムリーチはどこで出るんだ?(笑)
これは必要だ(^^)、ところで日本でウクライナやロシアの政治家って知られてるの?
そう言う意味ではウクライナは知らないな。
うん、これは厳しいな。
ティモシェンコは華麗だね。ありがとう。
燃えるなあ!
でもどこにもない、ちょっと読んでみたいな!(注:ここの前半の訳は自信がない。文字通り訳すと「どこにも揺らす事が出来ない」と読めるのだが…)
アマゾンにあるよ。
このアニメのヒーロー達は途方もない事が出来るな。(でも)それが現実になりそうだ。
最高!
このマンガはロシア語や英語で何と呼ばれてるの? 作者の名前は?
(日本語版しかないのを聞いて)
脳みそが出ちゃうな。面白そうだけどこれを私が訳そうと思ったら途中で力尽きちゃいそうだ。(注:ここの訳はかなり自信が無い)

○3回目のいよいよヒトラー達ナチスとの戦い編のコメント
プーチンが出るこのシリーズを首を長くして待っていた
(プーチンが出る会の漫画を写したYoutubeを教えてもらって)
残念ながら漫画だけなのか、この回のアニメを見たいんだよなー。
これは面白い!
これは酷い(笑)
ヒトラーは陰気だなあ。
(そんな事は無いとヒトラーがほほえむカットを受けて)
こっこれは!
アドルフ・ヒトラー(ぺっ)
これはヘタリアみたいな作品なの?
この後麻雀の手に関する質疑の話題に(ロシアではメジャーじゃないのか?)
おお、なんてかっこよくデフォルメされてるんだ。
顔が怖いぞ。

どうやらそれなりに好評なようだが、メドヴェージェフはそんなに似ていないのだろうか?

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March 17, 2010

「非実在青年」都条例案周りの記事のサルベージ

 ネットでは大騒ぎになっているにも関わらずメディアにはあまり報道されない「非実在青年」都条例案だがこれはいろいろ問題だ。法案の内容は実在しない絵やCGなどでも青少年に対し、性的刺激を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものは規制すると言うものだが、肝心の判断基準が曖昧でどんなものであれ規制が可能な割に、肝心の青少年を守る為に必要な部分が抜けていたり、そもそも条例の各所が憲法違反になっていると言う穴だらけのざる法というのが問題なのだ。
 これについて的確に書かれた記事が日経ビジネスオンラインの中にあったので、それをちょっと引用する。ここは会員登録しないと後日読めなくなってしまうためだ。

非実在青年」都条例案:「机上空論」の穴だらけ:日経ビジネスオンライン

 文案は「青少年に対し、性的刺激を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれ」があるコンテンツに関しては、やたらと事細かに指定をしています。(中略) しかし、未成年者の犯行によって、同級生が性的いじめなどを受け、その画像や音声動画、実名を含む個人情報などがネットワーク上に流出したような場合、そうした当事者や、事件に関係しうるネット事業者はどのように対処してゆくか、といった内容については、トンと詳細な記載が見当たりません。そしてまさにこここそが、イタリア・グーグルのケースでは問題の焦点になっていたわけです。

 この他にも質疑応答の中で読売の記者が自分の主観で永井先生の『ハレンチ学園』は今回の改正でも大丈夫ですよと言い切って、自ら判断の基準が主観で決まるに違いない事を公言したが、これもまた改正案の条文がいかに恣意的に決定できてしまうかを裏付けるものだろう。さらに笑えるのは読売新聞は「『すべての性描写が規制されるわけでなく、大人への流通も制限されない』として、漫画家の創作活動には影響しないと反論している。」とする都側の言い分を掲載したにも関わらず、都の言い分に対する山口弁護士の会見コメントは一文字も紹介していない事も付け加えておこう。

関連記事:規制には莫大な金と利権が付きまとってる
/.に載っていたコメント。この条例の裏には警察官僚の利権拡大や情報統制強化の動きが絡んでると言う。ちなみにこの中心人物である久我英一と倉田潤は鹿児島県で起きた冤罪事件である「志布志事件」を引き起こした中心人物でもある。

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February 12, 2010

Белка и Стрелка - звездные собаки(ベルカとストレルカ-星空の犬たち)

Роскосмос(ロシア連邦宇宙局)のサイトで見つけたCGアニメ。"Белка и Стрелка - звездные собаки"(ベルカとストレルカ-星空の犬たち)。
85分のフルCGアニメでもちろんロシアのプロダクションの制作だ。それにしてもいつの間にかロシアのCGアニメーション技術がアメリカのCG映画クオリティになっているのには驚いた。
 コミカルな絵にも関わらず、皮肉の効いたストーリーと妙に正確なソ連宇宙開発のエピソードが豊富に取り入れられているところがロシアらしい。
 冒頭のカジミール・マレーヴィチ風の制作会社のオープニングアニメ、地球を18周して無事生還したベルカとストレルカの2匹をそのまま主人公に添えた設定(しかも史実通り彼らは元はモスクワの野犬だったのだ)など、知ってる人にとっては至る所ににやりとさせられるエピソードや逸話が豊富に取り入れられいて実に面白そうな話に仕上がっている。
 私のつたないロシア語ではそのおもしろさのごく一部しか判らなかったが、ぜひとも日本語の字幕を付けてどこかで出してくれないだろうか。

追記:公式サイトを発見、ちゃんと英語版のメニューもあるようだ。公開もうすぐでこれなら日本でも上映してくれるかも知れない。

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October 19, 2009

日本のアニメや漫画におけるソ連について(後編)

ようやくA LOOK AT THE PORTRAYAL OF THE USSR IN JAPANESE CARTOONS"(日本の漫画・アニメにおけるソ連)の訳(もちろん意訳)が完結した。バックナンバーは以下のリンクを参照して欲しい。

日本のアニメや漫画におけるソ連について(前編)
日本のアニメや漫画におけるソ連について(中編)

(なお訳の間違い等があればコメント欄で指摘してもらえるとありがたいです。注:コメントは承認制)

(中編より続く)
すなわち古い政党のリーダー達は守銭奴のオリガリヒとなり、元KGBは貿易と投機の為に情報ネットワークを活用し、軍上層部は個人的なポストを使って私兵を編成し、堕落している国の膨大な富をくすねるための過酷な戦いから彼らの経済帝国を守ったのである。射撃の名手としてオリンピックを目指していたチャンスと軍の地位を失ったバラライカはこのような祖国の崩壊を受け入れなかった。そしてその時、ホテル・モスクワの結成は彼女に給料だけでなく、再び戦闘能力と素早い判断力がものを言う世界への抜け道を提供したのだった。彼女は(こうした)金で成り上がった犯罪者を軽蔑しているのを隠そうとはしない。バラライカは考えられるあらゆる軍事オペレーションをこなし、戦略的提携の交渉を進んでこなし、敵の勇敢さを評価する。彼女の心はまだアフガニスタンにいるのだ。

 日本のロシア大使館の後援で動いているもう一人のマフィアは池上遼一の漫画「サンクチュアリ」に登場する力に飢えた元外交官のイワン・ソロコフだろう。他の多くの元スパイが単なる私的な利益の為にKGBとのコネクションを利用するのに対し、ソコロフは祖国の力を復興させる任務で動くロビイストなのだ。彼は日本の国会議員と共謀しシベリアの大規模な天然資源の開発で相互に利益を回すために活動するが、最終的に北海道の政治コントロールを巡って主人公達と衝突する。その時、若く大志を抱いた改革者である主人公は彼を自分と対等の人間と見なすのだ。1995年にこの漫画が出たとき多くの外国人はまだロシアの楽観的な将来を描いていた。しかしロシア人自身はトンネルの先に光があることを望むほど愚かではなかった。

1993年のモスクワ争乱事件でエリツィンの強権的な命令に従い不本意ながら国会議事堂に向けて発砲した戦車は、希望を失い空腹と内輪もめにあえぐ市民の中に残っていた政治に対する希望を打ち砕いた。サンクチュアリの著者が仮定した(干からびた古いやくざの言葉で言う)「ロシア人のエリートは常にロシアは超大国でなくてはならないと思っている」と言う主張は現実のロシアの強欲なエリート達の(ロシアを大国にするどころか国益すら考えない)行動を見てると滑稽にすら見えてしまうのは皮肉な事だ。
ソ連崩壊後の混乱が続き結局ロシアが破綻国家になってしまった事からも、それ(当時、ロシアを大国に再建しようと言う理念を持った政治家はいなかったの)は証明されるだろう。もし90年代にこの作品に登場するような理念をもった政治家が何人かいたならば少なくとも今のロシア状況はもう少しましだったに違いない。(訳者注:ロシアを建て直したと言われるプーチンが大統領になったのは2000年になってからである)

ロシアが弱体化したことで「赤い脅威」の役割は中国に引き継がれた。全体主義のプロパガンダの公式な守護者の役割や赤と黄色の配色、角張った機械類と言った(過去ソ連の記号として使われた)ものは今や中国のものなのだ。最近になってそれをもっともインパクトのある形で見せてくれたのが「ガンダム00」である。この中でユーラシア大陸の国々ブロックを構成している中心は中国であってロシアではない(作品中でロシアは2つに分裂してしまっている)。そしてそれは灰色の髪を持つベテランパイロット、セルゲイ・スミルノフにおいても明らかだろう(20年前だったら彼は上記のソ連の記号をまとっていたに違いない)(訳者注:この部分の訳は自信がない)。その代わりにソ連からインスパイアされたイメージは目眩がするほどごちゃ混ぜになって「速水螺旋人の馬車馬大作戦」の中に登場する皿のような目をした萌える情報部のヒロインやエルフのような耳をした潜水艦の司令官(ナースチャ少佐の事か?)などと共に登場するのだ。ソ連の遺産は伝説的な技術やエキゾチックなイメージの豊富な土壌として歴史にとりつかれた漫画家によって略奪される表面的なイメージとしてしか残ってないのはもはや避けられない事なのだろう。

ニューヨーク在住のクリエーターと実験的なアニメーション制作会社スタジオ4°Cとの前例の無いパートナーシップの結果、二人のロシア人アーティストによるソ連の伝説に国際的な評価をもたらそうとする宣言は長編アニメーション「First Squad」として実を結んだ。2005年以降に出る作品は国際映画祭の候補にあがっている。(訳者注:その後この作品は2009年にモスクワ国際映画賞を受賞した)そして10月15日にはロシアでDVDのリリースが予定されているが、それを手に入れて見る機会があれば直ぐにレビューを投下するつもりである。(訳者注:Colony Drop reviewってなんだ?)

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October 13, 2009

日本のアニメや漫画におけるソ連について(中編)

 前回に引き続き"A LOOK AT THE PORTRAYAL OF THE USSR IN JAPANESE CARTOONS"(日本の漫画・アニメにおけるソ連)の訳(もちろん意訳)を掲載する。予想通りボリュームが凄くて、今回も終わらなかった。平日はとても訳す暇は無いと思うので、この続きはだいぶ後になるのは了承して欲しい。
(なお訳の間違い等があればコメント欄で指摘してもらえるとありがたいです。注:コメントは承認制)

 恐ろしいソ連の情報局は事実上、張り巡らされた外国のスパイ組織網を使って世界のあらゆる場所で地政学上の問題に関与した。しかし現実の諜報員が行う複雑で秘匿された諜報活動は(地味で分かりにくいので)アニメのアクションには向いていない。その代わりKGBは「フルメタル・パニック!」の傭兵ガウルンのような派手な悪役としてか、有名なB級アニメ「クリスタル・トライアングル」に出てくるばかげた紫色のローブを来たKGBが連れてきた考古学者のように描かれていた。しかし所々おかしな所はあるものの現実のリアルさを取り入れた例としてはTV版パトレーバー9話「上陸 赤いレイバー」が上げられるだろう。これはKGBの士官がマシンと共に日本に逃亡してくると言う、1979年にベレンコ中尉がMig-25を使って北海道に強制着陸した亡命事件を下敷きにした話である。

これらの冷戦時代のシナリオはどれもKGBと言う組織が敵役であり、登場するキャラクターは(名前こそあるものの)無個性な存在を超えられなかった。説得力のある描写にもっとも近いアニメは2001年のアニメ「ノワール」まで待たなければならなかった。この話の中の、私的な理由で「民族浄化」実行した元KGB将校ユーリ・ナザーロフに復讐する為にヒロイン霧香が雇われる話では、ソ連で現実に行われた少数民族に対する政治的弾圧や何世紀にもわたる紛争を反映させている。これはBee Trainの作品にあるような一時的な言及よりもずっと良い、評価に値するテーマだろう。

十分不思議なことだがアニメにおけるもっとも有名なソ連人は実は東ドイツ人そのものだった。ソ連を中心とした占領軍が鉄道や自動車そしてそれらエンジニアを根こそぎ接収したおかげで殆ど何もない瓦礫の中から再建したにも関わらず、再び主要な東側衛星諸国として浮上したこの国は、ドイツ民主共和国(東ドイツ)は社会主義体制におけるソ連の輸出文化の重要な要素であった。そして私はユング・フロイト(「トップをねらえ!」に登場するソ連からのパイロット候補生)がジークムント・イェーン(東ドイツ初の宇宙飛行士、なお西ドイツの宇宙飛行士が飛ぶのはもっと後)を奮い立たせたことを確信している。だが彼女の搭乗機シズラーは別として(訳者コメント:原文ではAside)フロイトは残念なことに結局の所サングラスとブロンドのアメリカナイズされた「生意気な外国のライバル」のテンプレート過ぎなかった。実際、魅力的なソ連人のキャラクターはソ連崩壊まで登場しなかった。そして、見込みのない目標のために戦っている反逆者の典型として好戦的な元ナチスと邪悪なマルクス主義者の革命家ばかりが作品には登場し続けたのである。

ソ連崩壊後に登場する(魅力的な)新しいタイプのソ連人の一例はブラック・ラグーンに登場するバラライカだろう。彼女は精鋭部隊のVDV(空挺攻撃部隊)で部隊を率いていたが、その後ホテル・モスクワと呼ばれるロシアンマフィア組織に転向し大幹部になっていると言う設定だ。米国海兵隊の様に、VDV(空挺攻撃部隊)はソ連のエリート部隊のシンボル的な存在で迷彩服の下に独自の横縞模様のシャツ着ている事で識別できる。バラライカの祖国に貢献するエリート兵士から犯罪組織への移行と言う経歴は職業軍人として悲しくなるほど典型的だが、一端戦闘マシーンとして育てられた人間が経済的な支援もなく、そしてこれまで正しいとしていたイデオロギーも否定され、いきなり路上に放り出されたら自然の摂理としてこうなってもおかしくない。そして(ソ連崩壊後の)「混乱の90年代」は数学者が構造保持変形と呼ぶものを生じさせた。(訳者注:ここは何度読んでも意味が分からなかった)
後編に続く

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October 11, 2009

日本のアニメや漫画におけるソ連について(前編)

 速水螺旋人氏のtwitterで「日本のアニメや漫画におけるソ連について(英文)」と言う記事を知る。どうも著者はロシア人らしいのだがソ連海軍将校の叔父の思い出から始まるこの記事は第二次大戦からの日本とソ連の関係もふまえたなかなかに読み応えがありそうだ。(後半の日本のアニメにおけるKGBの影響とか面白そう)
 そんな訳でがんばって訳そう(もちろん意訳)と思ったのだが、いかんせん長文なのと私の英語力が貧弱なこともあって1回ではとても終わりそうもない。そこで中途半端ではあるが、前半1/3ぐらいまでで勘弁して欲しい。
(一応、後半も訳すつもりだが忙しかったり気力が尽きたりしてとぎれるかも知れないのであしからず。なお訳の間違い等があればコメント欄で指摘してもらえるとありがたいです。注:コメントは承認制)

日本の漫画に見るソ連・ロシア

 私たちが津軽海峡に入ると船の調理室のテレビは(日本の)テレビを受信できるようになった。乗組員達は狭いŠilelisに集まりこれまで見たこともないTVの輝きに見入っていた。異国の侍・女官・白粉を塗った顔。TVの熱狂的なトークショーの司会は(我々にとっては)完全な外国語で話していた。それから4時間余りの時間、私たちはその非現実的な番組から離れることは出来なかった。
 最近の家族の集まりで、ソ連海軍将校としての私の叔父の最初の国際航海の思い出として話されるのがこの話だった。「もしかしたら我々がこれを見て(間違った日本のイメージを膨らませている)ように、連中も同じように我々を見てるかも知れないね」と誰かがジョークを飛ばしたが、それこそがこの記事の狙いなのである。


 地理的には近いにも関わらず、西側に残った日本にとってソ連は不可解な存在のままだった。そして平均的なロシア人は抑圧的な全体主義的政権の一部と最初に見なされていた。そして個々の民衆は(全てがでたらめと言うわけではないが)一つの巨大な軍事組織のように硬直した経済システムによって支配されていたと見なされていた。平和の使節として活動している一定の努力にも関わらず、消防士は軍隊のような階級を持ち、日常品も軍需工場によって生産され、地図はスパイ活動を防ぐため故意のエラーが含まれていたせいもあってこのイメージは覆すことは出来なかったのである。

 国内では調子の良い宣伝機関が若者の精神を完全なものにするために活動し、全ての18歳の男性は2年間の徴兵でその効果は最高潮に達するのだった。タジク人の大工もユダヤ人の科学者もヤクート人の漁師も軍隊では全てが国歌の歌う「長年のルーシの栄光の元に」赤い脅威の恐ろしいひげ面のバーサーカーとして銃剣を装着したAK-47を掲げるのだ。ソ連の領土と狭い海峡によって切り離されているだけの日本にとってこれは決して抽象的な脅威では無かったのである。

 とはいえソ連内部の話が出来るインサイダーのグループがいた。1945年に赤軍に降服し、ソ連を横切って強制収容所に収容されたおよそ60万人の日本兵達である。彼らの一人、元陸軍飛行兵の木内信夫は抑留体験を豊富に説明されたスケッチによって収容から本国送還までの経験を残している。

 遠い異国の囚人として彼はスターリン体制下での多くの平均的ロシア人労働者の生活について記述している。戦後吹き荒れた粛正の嵐の中、国自身が巨大な軍産複合体を再建する為に無秩序に広がった強制労働キャンプと化していた。そのため木内氏は採石場での過酷な労働に使役され、シラミの来襲を受け、同僚が飢餓や酷い風邪で死んでいくのを見ることになるのだった。そしてそれは厳しい凍った気候の中で道路や運河、工場建築に従事していたソ連の市民とそれほど大差ないものであった。

 1959年にソ連と日本の間の国交が回復すると、ようやく殆どの抑留者は家に帰ることが出来た(このときの日本人の勤勉で欠陥のないその仕事ぶりの評判からソ連の地方政府は彼らを帰すのに気乗りがしなかったと言われている。特に労働者の大部分を彼らに依存していたサハリンや千島列島ではなおさらだった)。その後、日本はソ連の中で資本主義国の中では2番目に大きな貿易相手国となるほど健全な貿易相手になったが、北方領土の損失に対する憤慨は、そこを支配していた古くからの競争者の間で長年の反感を拡大し、領土回復を掲げる国家主義者の復活に煽られるように日本はソ連との平和条約を拒絶した。そしてこの状態は今も続いている(両国の間には今も正式な平和条約が署名をされない状態で残っている)。こうした事は日本におけるソ連の見方を、西側諸国におけるプロパガンダのイメージ通りに狭める事を確実にしていった。そうソ連は多くのアニメーションの中では究極の赤い悪魔の手先であるKGBとして描かれていたのである。

中編に続く

日本のアニメや漫画におけるソ連について(中編)
日本のアニメや漫画におけるソ連について(後編)

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