カテゴリー「経済・政治・国際」の201件の記事

July 04, 2013

参院選に向けての覚書

第23回参議院選挙の公示も行われたのでメモ。

これはいいまとめ。自民党の改憲案の問題点が良くまとまってる。
てきとう:自民党「現憲法は多くの権利を保障する一方で、義務に関する規定が少ない。」

比例区でワタミを落として自民党に票を入れる方法の検証。やはり候補者名を書いても駄目なようだ。
選挙についての悪質な誘導

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April 21, 2013

若者が借金しないと教育を受けられないと何が問題になるのか

 Togetterで「若者が莫大な借金を抱えて社会人となる事態」と言うまとめが話題になっている。学生支援機構の奨学金が奨学金とは名ばかりのローンで、就職時に多くの借金を抱えた若者が大量に発生しているというのだ。
 その背景や問題点・対策など様々な意見が出ているが、ここではこうした制度の何が問題で、どんな事態を引き起こすのかについて書いてみたい。
 まず若者が就職時に多くの借金を抱える事についてだが、同様の現象が起きているアメリカで何が起きているか触れておこう。書籍「貧困大国アメリカ」などでも指摘されているが、アメリカでも就職時に多くの借金を抱える若者が出てきている。ただ日本とちょっと違うのはその中でよく有るのがハイリスク・ハイリターンを狙う若者で、彼らはMBAや弁護士資格など高収入が見込まれる資格を得るために多くの借金を抱えてでもこれらの資格を取り、就業後それらを取り返すと言うプランを持っている事だ。
 ではこうした学生が増えるとどんな問題が起きるかと言うと、彼らは一刻もはやく学生時代の借金を返済するために、収益性を一番に考えて仕事をする事にある。なぜこれが問題かといえば、こうした優秀な学生の進路の多くが「収益性」で選ばれてしまうので、それ以外の重要度が高くても収益性が悪い分野に人材が集まらなくなってしまうからである。またもう一つの問題として、行政や弁護士事務所などの公益性を持つジャンルに置いても彼らが収益性を第一に考えて仕事をする事により、お金を出してくれるスポンサーの仕事のみが優先され、公益性が損なわれていると言う分析もなされている。
 つまりこうした借金を抱えて社会にでる若者が増えれば、たとえその後ローンを返済できたとしても社会に負の影響が出てくる可能性がある訳だ。
 また冒頭に上げたまとめでも出て来たが、一部の本当に学びたい人間や優秀な人間だけが高等教育を受ければいいと言う意見については次のように反論出来るだろう。これは以前、アラン・ケイがインタビューに答えて語った台詞である。

--少数の創造的な人がいるだけだったらどうだろうか。

 それは民主主義にとって破滅的だ。一般教育を行なう主な理由の1つはまさに、有権者がさまざまな問題で同じ会話ができるようにするためだ。そうしなければ職業訓練校やギルドの昔に戻ることになる。


民主主義では全員が票を持ち政策について意思表示出来る訳だが、それには国民がそのテーマについて判っている事が前提になる。しかし原発や経済政策などについてちゃんと判っていると言える人がどれだけいるだろう。今や政策について意思表示するだけでも、恐ろしく専門的な知識が必要になっていると言うのに、今よりも教育レベルを下げてしまったら、まともに社会の多くの問題に議論も選択もできなくなってしまうだろう。

関連:教育格差の放置は民主主義の崩壊を招くだろう
以前書いた記事。

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March 16, 2013

医薬品のネット販売のルールの有識者会議が迷走する訳

 厚労省の医薬品のネット販売のルールを決める有識者会議が迷走しているらしい。詳しくはこちら(第3回OTCネット販売検討会~不思議な人たち!)を見て欲しいが、今回はどうしてこんな事になったのかその背景を考察し、ついでに日本の意思決定システムの問題点についても考えてみたいと思う。
 おそらく一番ありがちなケースとしては、ここに居る代表者は名目上は代表者でも、自分の代表する団体の意思決定権を持ってないので、あらかじめ決められた事や建前は言えても自分たちの組織の活動に悪い影響を及ぼす判断を下すことが出来ないからではないだろうか。
 それならこうした事態になってもおかしくない。彼らに与えられた権限は、あらかじめ決まった事を伝える事だけであって、それ以外の事は持ち帰って団体内で検討する事しか出来ないなら、この会議で出来る事は建前と決められた事を言うだけだ。
 笑い話のようだが、別にこうした話は珍しくない。会社同士の交渉でも担当者に実は決定権が無く、何かあるたびに本社に持ち帰って返答待ちになる事は珍しくないし、下手をすると会議は形式上あるだけで実際の決定は飲み屋の席や談合で既に決まっている事すらあるからだ。こうした経験はある程度の組織で交渉にあたったことのある人なら誰しも経験しているのではないだろうか。

 また仮にそうした裏が無くても、実際の交渉の場が形骸化している場合もある。ありがちなケースとしては団体内で権力闘争が行われていて、交渉結果が組織内の闘争に利用される場合だ。
この場合、不利な条件を飲むことは担当者にとっては自らの組織内の失脚を意味するので、選択肢としては交渉で勝つか、はじめから交渉に参加しないと言う2択しかない。
余談だがこの前、東日本大震災二周年追悼式で中国が欠席したのも、この時期に全国人民代表大会が行われていて丁度これと同じ状況だったからである(担当者としては追悼式に参加した事で後から批判される危険があった)。


 それにしても思うのはどうしてこの国は、オープンな公式の場できちんと物事を決定するシステムが上手く機能しないのだろう。過去の例を見ても多くの場合、裏で既に決まっていたり、後から問題が出てきて揉める事例ばかりが目に浮かぶ。
 最近、TPPが大変な騒ぎになっていて悲観論が数多く出てるのも、この国の公式な場における交渉力が欠けていると皆が思っているからではないだろうか。

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February 24, 2013

TPPに関する私的なまとめとQ&A

 ずいぶん前からTPPが話題になっているものの、郵政改革法案以上に利害関係が入り組んでいる上に外国も絡む問題なので、なにが問題なのかわからない人も多いだろう。しかも調べようとぐぐってみてもそれぞれの立ち位置に立ったプロパガンダや陰謀論まがいの言説ばかりヒットする。かと言ってマスコミの報道は相変わらず判で押したような原則論と建前ばかりだ。
 そんな訳で自分なりに調べたTPPの争点をまとめておく。もちろん個人がまとめたもので自分なりのフィルター(私自身はTPPに対して批判的である)がかかっているのは否めないので、それを了承した上で参考にして欲しい。


・そもそもTPPとは何か?

TPPは環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement )の頭文字をとった略称で、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目指した協定である。参加国はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド。現在、参加交渉中の国はアメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが現在大枠で合意し、カナダとメキシコそして日本が現在交渉中である。
協定の概要は加盟国間のすべての関税の90%を撤廃し、2015年までに全ての貿易の関税を削減しゼロにすることが約束されている。詳細な内容は参加国以外には公表されず、交渉会合中の情報共有や協議は原則として認められていない。


・何が問題視されているのか?

関税を廃止するということは、外国製品(サービスも含む)が低価格で国内に入ってくる事を意味する。当然ながら国内の産業はこれらと完全な価格競争に巻き込まれることになる。
これまで関税で守られていた業界はこれによって大ダメージを受ける可能性が高い。


・国内の関税で守られていた業界が問題視しているのは分かるが、消費者にとっては利益ではないか?

必ずしもそうとは限らない、例えば価格競争に敗れて国内の産業が無くなった場合、その産業に関する雇用が無くなり不況のきっかけになる可能性もある。
また国内産業やサービスが駆逐された結果、競争に打ち勝った外国のサービス(商品)しか選べない結果になるかも知れない。


・選択肢が減ってもこれまで日本に入って来なかった外国製品(サービス)がそれに置き換わるだけで問題ないのではないか?

TPPでは「全てのジャンル」で関税を撤廃し原則として例外は認められていない。これには医療・金融・保険なども含まれる。日本の医療は健康保険制度によって個人の負担がかからないようになっているが、TPPによって制度崩壊に繋がる「公的医療給付範囲の縮小」「医療機関の株式会社化」「混合診療の全面解禁」が行われる可能性がある(もちろんこれによって100%制度崩壊に繋がるかは議論が分かれている)。


・報道などではアメリカ国内にも反対意見があり、日本も農業などでTPPの適用例外が認められると言う話もある

上に書いたようにTPPでは参加するまで正式な内容は公表されないので本当のところは判らない。ただし日本では例外が認められるような報道もあるが、ロイター配信記事などによれば"All goods on table if Japan joins TPP talks -U.S.-Japan statement"(日本国がTPP協議に参加すれば、全ての品目が交渉テーブルでの対象となる)とあるように、本当に例外が認められるかは疑わしい。


・まるでTPPに問題があるのを隠すために内容が公表されてないような書かれ方だが、どの条約も交渉中は手の内を探られない為にも公表されないのが普通では無いのか?

交渉中に内容が公表されないのはどの条約でもよくある話だが、TPPの問題点は一方で交渉に参加している一部の利害関係者によってその内容が決定されているのではないかと言う批判がある。例えばTPPに違反していると思えば参加国は他の参加国を訴えることが出来るが(所謂、ISDS(Investor State Dispute Settlement)条項)、この内容は米国の企業の顧問弁護士が中心になって決めていると言う批判が出ている(資料)。
 なおISDN条項に関しては、これによって米国からの訴訟が乱発される、過去の判例で殆ど米国が勝っていると言う意見も出ているが、これには反対する意見も多い。ただしTPPにもISDS条項を入れるか自体、オーストラリアのギラード政権が反対するなど不明であり、内容以前にISDS条項が入るかも分からいのが現状である。

・TPPで著作権に関しても米国の主張が認められ、ダウンロード違法化の拡大、非親告罪化、法定損害賠償などによって、所謂同人誌などの創作活動が規制されると言う意見があるが?

既にダウンロード違法化は行われたが、TPPによって更に多くの規制が増える可能性はある。これに対する反論で既に米国ではこれらが規制されたものの、創作活動は萎縮していないと言う反論もあるが、問題はTPPで規制が増えた場合、「これまで日本にあった規制」+「新たな規制」が加わる形になることだろう。これにより米国以上の規制が創作活動に加えられる可能性が高い。(参考:TPPで日本の著作権は米国化するのか

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January 02, 2013

私が地方分権主義者を止めた訳

 少し前まで自分は政府の介入は最小にして個々の問題は個々で解決させれば、自分たちが当事者なのだからベストな結果になると思っていた。もちろんその為の権限や予算はきちんと支給すると言う前提なのは言うまでもない。各自で解決しろと言ってもその為のお金や権限が無ければ、単なる弱者に被害をしわ寄せする口実になるだけだ。
 しかし武雄市阿久根市の事例などを見るにつけ、地方分権にせよ市場にせよ各自が自分たちで問題解決にあたっても、多くの所では肝心の長となる人物が独裁者になったり、あるいは無能で混乱を撒き散らすだけになるだけだと思うようになってきた。
 そして所謂ブラック企業の問題も同じ構図だと思うのだ。 日本には一応、労働基準監督署と言う企業が労働基準法を準拠しているかを指導・監督する部署があり、ILO条約81号と言う国際的な条約でもその設置が求められているにも関わらず、現実には人手不足と民業圧迫を避けるという理由からよっぽど悪質じゃない限り取り締まわれる事は無い。
 では自由競争と(労働者の)選択の自由の結果、労働者の環境が良くなったかと言えばご覧の通り、ごく一部の会社では素晴らしい福利厚生が実現され、高い生産性も上げてるが、多くの所ではそうなってないのが実情だ。
 そして地方分権が今よりも徹底すれば、いまの企業のようにごく一部の地域では十分な福祉や雇用が実現されるものの、多くの地域では今以上のディストピアが現れるに違いない。しかも皮肉なことに住処を変えるのは会社を変えるのと違い、受け入れ側では選べない。介護・医療サービスを充実させた結果、東京から「介護難民」が流入し自治体の財政を悪化させていると言う記事が以前、毎日新聞に載っていたが、せっかく住民サービスを充実させても人々が自由に移動できるかぎり、より低い環境に全体は最適化されて行く事になるのだろう。

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December 24, 2012

リベラルの敗北論あるいは今求められる弱者保護とは

 この前の衆議院議員総選挙では保守的な要綱を掲げる自由民主党、日本維新の会そして新自由主義的なみんなの党も含めると、480議席のうち約3/4の366議席を占める結果になった。これを受けてリベラル(注)の敗北と言う意見、そしてその分析を目にするがちょっと議論や分析がずれているような感じがした。
 そこで色々と思うことを書こうと思ったのだが、選挙からある程度時間がたったお陰もあって、調べてみるともう自分が言いたい事や思ったことはあらかた誰かが書いていた。特に印象深いのは以下のサイトだろう。

緑の五月通信:「嫌中・嫌韓」の友人と呑んで-彼は何に突き動かされているのか

 そんな訳でこれに便乗する形になるが、かつて万人にアピールできると思われていた弱者保護や自由の尊重・平和などといった概念がどうして魅力を失ったのかについてちょっと書いてみたい。
 端的に言ってしまえばこれらのキャッチフレーズはもう信用されなくなったのだろう。特に徐々に手取りが減り生活も苦しくなり、更には失業している人にとっては、困っている自分たちに対して何とかして欲しいと言うのが本音だろう。そしてさんざん流布されているようにこれから日本の経済成長が見込めず、少子化と高年齢化が進むのであれば、社会保障は減ることはあっても増えるとは思えない。それならばこれらの受給資格を厳正にしてフリーライダーを減らし少しでも自分の取り分を増やさなくてはならないと考えるのは合理的だ。
 そして同じ理由で多少の困難があっても経済成長政策を進めるしか無いと思うはずだ。自分のパイを増やすには他人の分を減らすか、全体のパイを大きくするしか無いからだ。
 そんな訳で、もし弱者保護をこうした人々にアピールするとしたら、正しい選択による弱者保護を掲げるしか無いだろう。そして同じ理由で具体的な効果のある経済成長と平和(安心感)を提供する必要がある訳だ。


ただし、これは一歩間違うとかつての国家社会主義に繋がる危険性を孕んでいる。ナチスの政策は身体障害者などに対しては切り捨てる一方、国民の多くの層に対しては福祉の充実を謳ったものだった。そして経済政策に関しても短期的は大幅に改善された。結局はどうなったかは歴史の通りだが、当時は確かに正しく有効な政策だと思われていた。


(注)前提としてリベラルや右翼・左翼といった定義が各自バラバラで単なるレッテル貼りになっていると言う問題があるが、ここでは簡単に福祉国家的な政策、市場の保護管理、理想主義的な政策、個々人の自由の擁護、平和共存政策などを掲げる側をリベラル。既存の価値・制度・信条の尊守、愛国主義、個人が果たすべき責任の重視を掲げる側を保守としておこう。(個人的にはこうした単純な分類はあまり意味を持たないと思っているが)

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November 22, 2012

日本の治安悪化で最初に起こること

 日本が経済破綻したり、首都圏大地震が起きたりして治安が悪化したらどうなるだろうか?
かつて赤木智弘が書いた「『丸山真男』をひっぱたきたい」ではないが、そうなれば社会が流動化し持つ者が何かを失うことはあっても、何も持たない者はむしろ逆転のチャンスなのだと密かに期待している者も多いだろう。しかし過去の日本の歴史を見るとそう上手くは行かないようだ。
 終戦直後、文字通り日本は社会が流動化しこれまでの価値観は失われた。しかし確かに犯罪はそれなりに増えたものの大規模な騒乱は驚くほど少なく、まして反権力闘争と呼べるものはほとんど起きなかったと言ってもいい。しかも歴史資料を当たると判るのだが、その数少ない大きな騒乱の多くも、これまで抑圧され母国を別に持つ朝鮮系の人々が起こしたものが大半で、日本人が起こした事件は驚くほど少ないのだ。
 では当時の人々は秩序だって行動していたかというとそうではない。大規模な騒乱や凶悪な犯罪は少なかったものの、目に付きにくい所でははるかに多くの犯罪が行われていた。
 その中でも一番多かったのが、軍の資産の横流しである。しかもひどい場合には終戦前から軍関係者自身が行なっていたケースもあり、戦後あるべき資産の多くは蓋を開けてみるとすっかり空っぽになっていた。そのためGHQではわざわざ今の東京地検特捜部の前身である「隠匿退蔵物資事件本部」と言うう部隊を設置して回収に当たったくらいであった。そしてこうした横流しの多くは余りに多くの人間が大規模に行ったために、関係者の多くは起訴されることもなく不問にせざる負えなかった。
 そしてこうした横流しされた資産の多くは結局、軍の上層部やコネを元に流通し「持てるもの」がより多く、持たざるものにはごくわずかしか回って来なかった。

 きっと今度も仮に治安が悪化し社会秩序が崩壊しても、何も持たない者に逆転のチャンスが回る事はなく、社会の富は権力者や富を持つものに横流しされて消えて行く事になるに違いない。

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September 23, 2012

最近の経済分野で見かける新自由主義について思うこと

 最近、自分が面白いと思って記事や本を読んでいた経済分野の人の多くが新自由主義者になっていて失望している。新自由主義については賛否両論があって、Link先のWikipediaの記事は批判寄りで偏った見方だという批判もあるが、自分の見方は現状のWikipediaの記事に近い。

 果たして新自由主義が人々に繁栄をもたらすのか、あるいは不幸をもたらすのかの議論をここでしても仕方がないが、自分が一番危惧してるのは彼らの言うような社会は結局、金儲けや市場経済に強い人間がより富を得て、それ以外の人間はより貧しくなる可能性が高い点にある。
 たとえどんなものでも市場が値段をつけ正当に売買されるにせよ、それは売り手に商才があっての話だろう。結局のところ自分は市場の見えざる手はそこまで信用できないし、彼らが言うようなお金に関する知識は生きていく為の基本能力だから、生き残るために皆その能力を身につけなければならないと言うロジックには与しない。どんな人間でも好きなことをしてそれで評価され食っていける世界が自分の理想なのだ。

 だが悲観論者が言うように日本が経済破綻した暁には、訪れるのは金持ちや権力者が破綻してその富や権力が再配分される未来ではなく、混乱によって弱肉強食化した社会の中でより力をもったものが他の者を踏み台にするまさに究極の新自由主義社会が訪れるのだろう。

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August 19, 2012

生活保護の埋め合わせにフードバンクを考える

 河本準一の母親の生活保護受給疑惑以降、未だに生活保護や社会福祉の問題が続いている。この前も来年度概算で生活保護抑制し公共事業は温存すると言う内容が物議を醸したのは記憶に新しい。この背景には高齢化で社会保障費が膨れ上がっていて国の一般会計歳出額の約3割(平成24年度当初予算)を占めている(ちなみに公共事業関係は約5%)事からも判るように増え続ける需要に対して予算の目処が立たないと言うのがあるのだろう。
 とは言え有権者の多くを占め、今後も増え続ける高齢者に対する社会保障を削るのは難しい。そんな訳で削りやすいところから削る訳で生活保護などの少数に対する福祉が槍玉にあがる事になる。しかし、さすがに誰も本当に困っている人から補助を取り上げるのは言いづらい訳で、代わりに上がってくるのが「受給資格を厳格にすべき」「親族などの周りがまず援助すべき」「お金だと無駄遣いするので現物支給にすべき」などと言う意見が出てくる事になる。実はこうした案は口当たりは良いものの、それはそれで別の問題があるので自分は安易に賛成できなかったのだが、最近「フードバンク」と言う活動を知ってこれならなんとか埋め合わせになるかも知れないと思っている。

 フードバンクとは「包装の傷みなどで、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通出来なくなった食品を、企業から寄附を受け生活困窮者などに配給する活動およびその活動を行う団体(参照:Wikipedia)」の事でアメリカでは60年代から行われ、日本でも近年少しづつ行われるようになってきた。
 実は日本は食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量740万トンをはるかに上回り、3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵する(参照)。かたや食うものにも困っている人が居ながら、世界で一番食べ物を捨てているのが我が国なのだ。
 そして貧困問題のもう一方の問題である住宅に関しても、この前NHKで特集が組まれたように既に日本では余りつつあるのが実情だ。戸建て空き家の数は全国で181万戸もあり、都心部ですら数多く存在する。
 何のことはない、わざわざ税金を使わなくてもこうした余っていたり捨てられている物を回すだけで貧困問題のいくつかは解決出来るのだ。もちろん実際には運用に当たってのリソースも必要だし、様々な問題もあるだろう。だが、お金が無いと言う口実の前にこうした手段を試してみるのも悪くないのでは無いだろうか。

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June 23, 2012

その後のシェールガスのまとめ

 いまだに何故かGoogleでシェールガス関係で検索すると自分のBlogが上位に表示されるらしく、今でもlogをみると「シェールガス」のキーワードで来てくれる人がいるようだ。

 そんな訳で久しぶりにシェールガス関係の新しい話について書いてみたい。とは言え最初にエントリーを書いたときと違い、既にシェールガスでは日本語でも豊富な記事が多くある。そんな訳で、要はそれらを見てもらったほうが良いのだが、いちいち検索するのも大変だと思うので自分なりに調べた検索メモ風にまとめてみた。

アメリカで注目 シェールガス (1) ~地中深くに眠る天然ガス~
アメリカで注目 シェールガス (2) ~地下水からガスが…開発地域で苦しむ住民~
NHK海外ドキュメンタリーで2011年5月14日に放送された特集番組。さすがはNHKらしくシェールガスとは何かから始まって、メリットから問題点までよくまとまっている。シェールガスについてひと通りの知識をつけたい時には、まずはこれらをみるのがいいと思うが、番組全体は見ることが出来ないようだ。


NHK・ドキュメンタリーウェーブ「シェールオイルを掘りおこせ~新たな石油鉱床の衝撃~」書き起こし・ほぼ完全版
上記の番組の書き起こしまとめ。上の動画で足りない分はこちらが参考になる。

シェールガスの開発は沢山の小さなノウハウの積み上げで可能になった
MarketHackのBlog記事。シェールガスを可能にした採掘技術に関する分かりやすい解説記事。

シェールガス開発に出遅れる露ガスプロム-水圧破砕で敗者か -
ブルームバーグの翻訳記事。天然ガスで圧倒的なシェアを占めるロシアの代表的ガス開発会社「ガスプロム」がシェールガス革命でどんな影響を受けたのか。

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