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October 07, 2017

三才ブックスより出版された「旧ソ連遺産」の解説を手伝いました

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 以前三才ブックスから出版された「バイコヌール宇宙基地の廃墟」と言うバイコヌール宇宙基地に廃棄されていた旧ソ連のシャトル「ブラン」の写真集を少しだけお手伝いした縁で、今回「旧ソ連遺産」と言う建造途中で廃棄された原子力関連施設やロケットエンジン工場などの写真集の解説を行いました。2011年末、ロシア・エネゴマシュのロケットエンジン工場に女の子が潜入し、撮りまくった写真をネットにアップした事件を覚えている人も居ると思いますが、その彼女の写真集になります。
 自分は主にロケット工場とモスクワ郊外のクビンカ周辺の軍事施設に廃棄された車両やミサイルの解説を行いました。建造途中で廃棄された原子力関連施設、原子炉保護容器、核兵器貯蔵庫、ロケットエンジン工場、軍のバックヤードに遺棄された軍用車両やミサイルなどその手のものが好きな人には必見の内容なので宜しければご覧ください。

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March 16, 2014

清沢洌「暗黒日記」より

清沢 洌(きよさわ きよし)と言う戦前・戦中の優れたジャーナリストがいた。特に日米間の論評で有名で彼の分析は今読み返しても時代を超えた慧眼を感じる。
その彼が戦前、我が子に向けて書いた文がまさに今の時代にも当てはまると思ったので、以下に全文を掲載したいと思う。(※文章は既に著作権は切れています)
それにしてもこの文を読んだのは10年程昔だが、まさかここに書かれている様な雰囲気が再び日本に起こるとは思わなかった。

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清沢洌 『わが児に与う』

(初出:清沢洌著「非常日本の直言」1933(昭和8)年3月14日/底本:橋川文三編「暗黒日記1」(ちくま学芸文庫))


 お前はまだ何もわからない。が、お前の今朝の質問がお父さんを驚かせた。

 この書の校正ができあがって、序文を書こうとしている朝である。お前は『お父さん、あれは支那人じゃないの?』と、壁にかけてある写真を指して聞いた。『ウン、支那人ですよ』と答えると、『じゃ、あの人と戦争するんですね』というのだ。

 『お父さんのお友達ですから戦争するんでなくて、仲よくするんです』
 『だって支那人でしょう。あすこの道からタンクを持って来て、このお家を打ってしまいますよ』

 お前のいうことを聞いていて、お父さんは思わず憂鬱になったんだ。お前は晩生れの七歳で、まだ学校に行ってはおらぬ。母親か女中かに教わって、片仮名でどうやら苗字だけは書くが、ワとアが混線して、行衛が不明になっている程度だ。不便なところに住んでいる関係で、お友達のないことが気の毒なほどだから、外部からの影響のあるわけはない。

 それだのにお前は、いつの間に、そしてどうして支那人は日本人と戦争をする人間であることを知り、そうした恐ろしい人をお友達に持っているお父さんを不思議に思うようになったのだろう。

 『どこから支那人は日本人をタンクで打つと教わったの?』と、お父さんが聞くと、お前は得意そうに肱を張って『教わらなくたって知っていらア、ちゃんと雑誌で読むんですもの』と答えたのだった。

 なるほどよめた。雑誌社の好意で寄贈してくる少年雑誌などの絵を見て、お前は自然に時代の空気を感受してしまったのであるらしい。

        ×

 親父がジャーナリストだから、この子も時代の空気を嗅ぐことは早い、と笑ってしまうのには、お前の疑問はあまりにお父さんの神経を刺激したんだ。

 『この空気と教育の中に、真白なお前の頭脳を突き出さねばならんのか』

 お父さんは、お前の教育について初めて真剣に考えたよ。それと同時に、思わずバートランド・ラッセルのことを想い出したんだ。かれの教育に関する著書の中に、かれの息子が教育期に達して、その教育問題に直面するようになってから、始めて真剣に教育のことを考え、その思案の結果がその著だったという意味のことを書いてあった。そしてその後、かれは夫人と共に少年のための学校を経営するようになったはずだ。

 ラッセルとお前のお父さんに、天分の相違がどれだけあったところが、子供に対する責任を感ずる点において相違があるものじゃない。お父さんも、今朝、いまさらながら人間をひとえに敵と味方に分ける現代の教育に、お前を托さねばならぬことに言い知れぬ不安を覚えたのだ。壁にかかっている写真は、みんなお父さんの先輩や友達なんだ。比較的に世界を旅行したから、欧州の人の写真もあれば、アメリカ人の写真もあり、またお前が見つけ出したように、支那人の写真もある。しかしこれは皆なお父さんのお友達なんだよ。お父さんのお友達が、たまたま支那人であったり、アメリカ人であるが故に、お前の家をタンクで撃つということがあるもんですか。

        ×

 お前はまだ子供だからわからないけれども、お前が大きくなっても、一つのお願いは人種が異ったり、国家が違うからといって、それで善悪可否の絶対標準を決めないようにしてくれ。お前のお父さんはアメリカに行っておった時に、人種の相違で虐められたこともあった。その時には

 『なに、こいつらが……』

と燃えるような憤怒を感じたものだが、しかし年齢をとって静かに考えるようになってからは、地球の上から、一人でもそういう狭い考えを持つものが少なくなることを念ずるようになったんだ。

 前にも言ったようにお前のお父さんは、世界を旅しない方ではない。それから感じたことは、文明というものは国を縦にした国境で決るものであるよりは、世界を横にした文化層で決るということだった。つまり一国の智識階級は、その国内の不智識階級よりも、むしろ外国の同じ層と、かえってよく手が握られ、世界文化の発達のためにつくせる場合がある。世界を縦に区切ることは、決して悪いことじゃない。けれども、これから広い世界に育たねばならないお前に対して、お父さんは囚えられぬ心構えを望むんだ。

        ×

 お前はお父さんが理想主義だと笑うかも知れない。しかしお前が、ものを考える時代になったら、その笑われた理想主義がはたして遠道であったかどうか見てくれ。

 こちらがワンと言って、先方がただだまって引込むなら現実主義は一番実益主義だ。しかしこちらがワンと言うと、先方がそのまま引きさがる保証があるかね。こちらが関税の保障を高くして、先方だけに負わせる仕組ができれば結構だが、先方も自己防衛から円の下落と、こちらの関税に対抗しないという保証がどこかにあるかネ。先方も困るということは、こちらが困らないということではないよ。近頃の日本のインフレ経済学者の中にも、こうした一本道の人が多いのは喜ぶべきことだろうか。

 お前を対手にして、こんなこむずかしい理屈でもあるまいが、永遠から永遠に生きねばならぬわれらの国家にとって、いうところの理想主義者は結果において現実主義者であることを言おうがためなのだ。お前がこの文章がわかる頃になったら、昭和七八年(ママ)の頃のことを歴史的立場から顧みてくれ。

        ×

 お前が大きくなって、どういう思想を持とうとも、お前のお父さんは決して干渉もせぬば、悔いもせぬ。赤でも白でも、それは全然お前の智的傾向のゆくままだ。

 しかしお前にただ一つの希望がある。それはお前が対手の立場に対して寛大であろうことだ。そして一つの学理なり、思想なりを入れる場合に、決して頭から断定してしまわない心構えを持つことだ。

 お前のお父さんは、一部から非愛国者のようにいわれたことがある。しかし一家に育ったお前として、これほど滑稽な批難はないことが大きくなったらわかるはずだ。『九千万という多い国民の中で、自分だけが国家の前途を憂えなければならぬような義務を誰に負わされたか』お前のお父さんは、ときどき、こんな自問を胸に画いて自嘲したい気持になるほど、真剣にこの国の前途を憂えているんだ。

 お前もこの国に生れた以上は、国家を愛するに決っている。が、お前の考えるように考えなくても、この国を愛する者が沢山いることだけは認めるようになってくれ。お前のお父さんも、全然反対な立場に立つ人に対しても、真剣でさえあれば、常に敬意を払ってきたんだ。

        ×

 お前はお前だ、お父さんはお父さんだ。お前を教育するのに、お父さんの型に入れようというような気持は微細もない。お前はお前のもっているものを、煩わされることなく発揮すればそれでいい。

 お前は一生の事業として真理と道理の味方になってくれ。道理と感情が衝突した場合には、躊躇なく道理につくことの気持を養ってくれ。これは個人の場合にもそうだし、国家の場合でもそうだ。日本が国を立って以来道理の国として、立って来ている以上は、道理に服することが日本に忠実でないというようなことがあるものか。

 西洋の誰かは『私は自分が生れた時より、自分の死ぬ時の方が、少し世の中をよくしたと信ずることが願いだ』といった。お前は世の中を救うの何のという夢のような考えを持たないでいい。一生道理のあるところに従った―そういう確信を持ったようになれば、それでお前のお父さんの願いはたりるのだ。

 ただ始めに書いたように現代の教育にお前を托するには、お父さんは相当に不安がある。それが少し心配だが、しかしさらばとてラッセルを真似て学校をたてるだけの甲斐性はあるまい。この現在の空気の下で、できるだけお前を、道理を把持して動かない人間に導いてゆくの外はない。

 折も折、今朝の食卓でお前の頑是ない質問があったばかりに、お前に与える手紙がこの著の序文の代りになった。これも何かの想出になろう。

清沢 洌

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April 07, 2012

ロシアのAmazonことOZONから「ソ連邦建設」を買う

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 ソ連邦建設と言う雑誌を知っているだろうか。かつてソ連時代、1930年から1941年まで月刊で刊行されていたソ連のプロパガンダ雑誌である。
 プロパガンダ雑誌ではあるが、今日でも有名なロシア・アヴァンギャルドを担う多くのデザイナーやカメラマンが参加し、当時の日本の多くのデザイナーにも影響を与えた雑誌でいま見てもそのグラフィックは格好良い。とは言え古い本でもあるので現本は極めて希少で本物を見ることは難しく、たまにあってもとんでもない値段が付いていたものだ。
 しかしたまたま調べてみると何と最近ロシアでこれをまとめた美術本として復刻されているという。もちろんその場で注文したのは言うまでもないだろう。

 注文したのはロシアのAmazonと呼ばれるオンライン書店"OZON"だが、ここは以前にも注文したので安心して注文できる。
 今回は書籍代1798lb+送料1399lbで日本円にして約8800円程かかったが、A4版フルカラー400ページの本をモスクワから買ったと考えれば決して高い金額では無いだろう。

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February 25, 2012

書評:閉じこもるインターネット

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 もういろんな所で話題になっているので今更取り上げる必要は無いのかも知れないが、余りに面白くそして多くの人にも読んで欲しいのであえてここでも取り上げる。多くの人が既に書評や紹介記事を書いているようだが、自分がこの本を紹介するのに最も適切だと思うエピソードが丁度冒頭に書かれていたのでそれを一部引用したい。

グーグルの検索はだれに対しても同じ結果を返してくれると思う人が多い。(中略)2009年12月以降は違う。いま、返ってくる検索結果はあなたにぴったりだとグーグルのアルゴリズムが推測したものであり、他の人はまったく違う結果になっている可能性がある。規格品のグーグルというものはなくなったのだ。(略)
パーソナライズされたグーグルで「幹細胞」を検索した場合、幹細胞研究を支持する研究者と反対する活動家ではまったく違う結果になるかも知れない。(略)調べ物をするとき、ほとんどの人は検索エンジンを普遍だと考える。でも、そう思うのは、自分の主義主張へと少しずつ検索エンジンがすり寄っているからなのかも知れない。
本書の前半では著者が当初、インターネットによって社会全体の民主化が進み一部の人間に独占された情報はオープンになり、多くの人々が低いコストで社会に情報を発信できることで特定の利権団体の影響を受けずに政治はより市民の声が反映されたものになり、人々が互いにネットで結びつくことでより社会の協力は強まり住みやすい社会が実現出来ると言うビジョンを持っていたと語っているのも興味深い。こうした意見は今でもネットの正の面を語る声としてしばしば目にするからだ。
 だが現実にはそうはなってない。ネットでも炎上騒動や互いのセクトに別れて批判合戦をやっているのはしばしば目にするし、SNSの様なコミュニティーでは似たもの同士で固められていく。
 本書では最近のインターネットで起きている流れで特にこの「パーソナライズ」に焦点を当てて考察している。「それがいつどういった流れで起きてきたのか。それによって何が起こるのか。問題点はどんなことでどうすればそれを回避できるのか。」もちろんその答えが全て書かれている訳ではないが、こうした事に少しでも関心があれば読んでみて決して損はしない内容だと思う。

関連Link:訳者の井口耕二氏の紹介記事。より突っ込んで本の内容が紹介されている。
 

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September 03, 2011

Главные Конструкторы Космоческой Эпохи(宇宙時代の偉大な設計者)

 この前取り寄せたВеликих Побед в Космосе(宇宙における偉大な勝利)を辞書片手にポツポツ読んでいる。その中でちょっと面白いのは後半のГлавные Конструкторы Космоческой Эпохи(宇宙時代の偉大な設計者)のコーナーに書かれたソ連・ロシアの宇宙開発の功績者の紹介が、エンジニア、宇宙飛行士の順になっている点だ。日本だとどうしても宇宙飛行士にはスポットがあたるものの、実際に現場で働いている人間にはあまり目が向けられない印象があるのだが、ここらへんがお国柄の違いが出ているようで面白い。正直、日本ももっと現場の人間にもスポットが当たるべきだと思うのだ。
 ところでこの紹介されている人物のタイトルがまた振るっている。訳してみるとまるで小説や映画のタイトルのようなフレーズになっているのである。それともう一点面白かったのは、紹介されている人物の順番だろう。最初にソ連宇宙開発を牽引した中心人物と言われるコロリョフが来るのは当然ながら、それ以後が外国からだと「誰?」と言う人物がかなり頭の方に来ていたり、逆にかなり後ろの方に回っていたりするのである。どうやら順番はジャンルを問わず重要度で振り分けられたようで、重要だが地味な発射台や通信システムなどの担当者が冒頭に着ているのが興味深い。
 本当は各人物の業績なども含めて詳しく紹介したいところであるが、残念ながらまだそこまで読みこなせてないので今回はほんのさわりだけ紹介したい。

セルゲイ・コロリョフ
※冒頭の彼だけタイトルが無い。逆にそれが名前だけで偉大さが判るだろうと言う感じで凄みを感じる。

グルシュコのエンジン
ヴァレンティン・グルシュコ

発射台を作った男
ウラジーミル・ヴァルミーン

宇宙の航海士
ニコライ・ピリューギン
(ミサイル及びロケットのジャイロスコープ及び自立制御装置を開発)

偉大な無線技術者
ミハイル・リャザンスキー
(レーダー及び衛星・惑星探査機用の無線システム開発)

クズネツォワのジャイロスコープ
ビィクトル・クズネツォフ
(R-7のジャイロスコープなどロケットの慣性誘導装置と自立制御装置を開発)

チェロメイの遺産
ウラジーミル・チェロメイ
(プロトンロケット、サリュートの元となったアルマズ宇宙ステーションなどを開発)

ウクライナの巨人
ミハイル・ヤンゲリ
(SS-18などの多くのICBMを開発)

まだまだあるがとりあえずこんな所で。

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August 28, 2011

ロシアのAmazonことozonで本を買ってみた

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 円高もあって最近、海外通販でいろいろ買っているのだが、今回ロシアのAmazonことozonで本を買ってみた。ロシアのオンラインショップと言うと怖くてとても買い物など出来ないと言うイメージを持つ人や、そもそも日本から買えるのと思う人も多いと思うが、最近はロシアのオンラインショップもかなり洗練されていて実は欧米と大差ない。特にここはロシア関係者の間ではかなり名の知れた大手サイトで日本からも結構買っている人が多いのだ。
 そんな訳で自分も興味があったのだが如何せんロシア語の壁もあり、買っても読みきれる自信が無くなかなか手を出せずにいたのである。実はここは本に限らずCDやDVDなども扱っているのだが、残念ながらそちらは海外には売ってくれないらしい。
 しかし今回、ガガーリン初飛行50周年と言う事でロシア宇宙局(ロスコスモス)監修で240Pにも及ぶフルカラー記念本が出るという。それなら写真だけでも十分買う価値がある。そんな訳でついにozonから初購入する日がやってきた。

 とこんな風に大げさに書いたが、買い物自体は実はとても簡単だ。サイトは全てロシア語で書かれているものの図版が多く、システムも殆どAmazonと同じで直感的に見て回れる。使われているロシア語も分かりやすく書かれているのでGoole機械翻訳を通してもだいたい意味が判るので、ロシア語が出来ない人でもそんなに困ることはないだろう。ちなみに日本語でぐぐれば日本語で書かれた買い物方法のレポートは結構出てくるので、細かい所はそれらを見れば問題ない。なお決済方法は大手のクレジットカードが使えるのでそれを使えば特に問題も無いだろう。唯一気をつけるとしたら発送方法で、間違っても安いからと一番安い国際郵便を選んではいけない。いや選んでもいいのだがどうやらこれはシベリア鉄道で延々と運ぶのか1月以上もかかるのだ(ちゃんとロシア語でも注意書きされている)。
(ちなみに今回は下から2番目に安いの発送方法を選んだが意外に早く2週間程度で届いた)

 そんな訳で思ったよりも簡単で安く買えたので結構今回の買い物には満足している。これに味をしめて再びいろいろ買ってしまいそうだ。

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May 29, 2011

フルシチョフの回想録が面白い

 実家の本棚に「フルシチョフ最後の遺言」を発見した。旧ソ連でスターリン後に書記長の座についたニキータ・フルシチョフが回想録を書いていたのは有名な話だが、どうやらこの本もその日本語訳のひとつらしい。
 旧ソ連や歴史好きなら必見の内容だとは聞いていたが、正直に言えば自分はそうした話を過小評価していた。所詮冷戦中に出された本だしきっとイデオロギー色が強いか、もしくは肝心な部分はたとえフルシチョフであっても秘密にして書かれてないに違いないと思っていたのだ。
 しかし何気なく一読して驚いた。自分は旧ソ連でも宇宙開発に興味があるのだが、なんと冷戦後に初めて明らかにされたと思っていたセルゲイ・コロリョフの存在やニェジェーリンの大惨事についてさえ結構詳細に書かれていたからである。しかもこの本、奥付をみると昭和50年に発行されたと書かれている。
 この他にも戦略ロケット軍創立秘話、当時から黄禍が懸念されていた話など、興味深いテーマが山盛りだ。まだパラパラと見ただけだがじっくり時間をかけて読んでみたいと思っている。

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February 27, 2011

物語の表バージョンと裏バージョン

 子供の頃に「十五少年漂流記」を読んだ人も多いだろう。念のためあらすじを書くと、原因不明の事故によって15人の少年を乗せた船が嵐によって見知らぬ土地に流れ着いてしまい、少年達はそこで生き残りを巡ってさまざまな工夫や葛藤を繰り広げていくと言う話だ。そしてこれと殆ど同じ設定で「蠅の王」と言う話もある。同じように少年達が遭難し見知らぬ土地でさまざまな冒険をする話だが、こちらは上記の作品とは打って変わって悲劇的な展開を迎える事となるのだ。
 そしてこれらをモチーフとしたアニメ作品もこれらと同じように表バージョンと裏バージョンが存在する。表バージョンにあたるのが「銀河漂流バイファム」で裏バージョンに当たるのが「無限のリヴァイアス」である。
 このように全く同じ条件であってもハッピーエンドとなる話と悲劇となる対照的な作品が存在しているものは数多い。タイトルは忘れてしまったが「ハチミツとクローバー」と同じような美大を舞台にした漫画では、主人公は結局金のために「クライアントが黒と言えば黒なんだよ」と言われるままにものを作り続ける羽目になり、ヒロインの天才的な才能を持つ娘は逆に世渡りが下手で精神を病んでしまうと言う漫画を読んだ事があるし、他にも挙げれば数多い。
 このように同じような設定であってもある話ではハッピーエンドになるのに別の話では悲劇に終わるのを見ると、実は同じ条件であっても実はハッピーエンドと悲劇は紙一重なのでは無いかと思えてくる。

 案外、私たちのリアルな生活もハッピーエンドと悲劇は隣り合わせなのかも知れない。

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January 09, 2011

書評:食の職 小さなお店ベルクの発想

51ithvky2kl_sl500_aa300_ JR新宿駅東口改札口のすぐ側にベルク(BERG)と言う知る人ぞ知る飲食店がある。ここは「安い・美味い・早い」の3拍子がそろった素晴らしい店なのだが、ここ数年大家に当たるルミネから一方的に立ち退きを迫られている関係でこれまでも何度か取り上げてきた。

 堅苦しい前置きになったが、今回取り上げた本は副店長の追川氏自らがこの店の食の秘密について書いたもので、純粋に食べるのが好きな人なら誰でも楽しめる内容になっている。またお店の運営から出しているメニューについても惜しげもなく披露されていて、飲食店経営を目指す人にとってもまたとない参考書になりそうだ。
 ただ飲食店経営を目指す人が読むと、読めば読むほどベルクと言う店は特殊な、言い方を変えれば希少なお店だという事を痛感するに違いない。よく大手のフランチャイズに対抗してヘルシーやスローフードetcなどのスローガンが叫ばれるが、この本を読むとそれをごく普通に実践する事がいかに大変か判るからだ。とはいえここは別に特に主張があってこうしたスローフード的な手法をとっている訳ではない。単に限られた条件の中でいかに美味しいものを作れるかを追求した結果としてこうなったに過ぎないのだ。
 一読して特に感じるのはこのお店の関係者に共通する美味しいものを作りたいという情熱だ。多少手間が増えようが、一見割高になりそうだろうが少しでも美味しくなるなら様々な工夫と手間を惜しまない様子は利用者としては「えっ、このメニューの裏にこんな手間暇がかかっているんだ」と驚くに違いない。また実際に材料を卸してる職人さん達との対談では、惜しげもなく「美味しくするための工夫」が披露されていて、こんなにノウハウを書いて大丈夫かなと思うくらいだ。
 ただこの本で唯一惜しいと思うのはどんなに言葉を連ねても「美味しさを伝えるのは難しい」と言う事だ。ましてや「どうして美味しくなるのか」に至っては本書の中でも様々な理由を考察しているが結局の所伝えるのは難しい。むしろ言葉を重ねれば重ねるほど、健康食品のキャッチコピーの様な感じになってしまうのは美味しさを言葉で伝える難しさを思えば仕方がない事なのかも知れない。それでも一度でもここで食べて(そして美味しいと思ったら)表現はともかく書かれている事はどれも納得が行くだろう。本書を読んでまだこの店に行ってない人がいたらぜひとも一度足を運んで食べてみて欲しい。

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December 09, 2010

「ソ連/ロシア巡洋艦建造史」を購入した

 雑誌「世界の艦船」別冊のアンドレイ・V・ポルトフ氏の「ソ連/ロシア巡洋艦建造史」を購入した。
その手のものが好きな人以外には興味が無いとは思うが、いくつか万人受けしそうな面白そうなところと興味深い部分を上げてみたい。

 ソ連末期に作られたスラヴァ級はアメリカの空母艦隊の防空圏の外から核弾頭付き対艦ミサイルを撃ち込んでそれを無力化すると言う方針で作られたミサイル巡洋艦だが、恐ろしく強力な攻撃力を備え(何せ通常弾頭でも戦艦大和を一発で沈められるミサイルや魚雷を山のように搭載しているのだ)かつ巨大なサイズを誇る巡洋艦である。
だが大きくなると建造費もかかるし維持運用するのにも膨大な手間と金がかかってしまう。そんな訳で巨大兵器というのは得てして歓迎されない物なのだ。
 ところがとにかくソ連・ロシアの軍艦は巨大兵器が多かった。これには様々な理由があるが、最大の理由は軍部が技術上の問題を無視した要求に答えるため、設計官や製造者が勝手に重量やサイズを拡大したために大きくなったと言う事情がある。
ところが現場の開発者達がこうした無茶な要求で困ったかと言えばどうもそんな事は無いらしい。彼らは冷戦時に軍事費が聖域化されて自由に予算が使えるのを良い事に嬉々としてこれらの巨大兵器を作り、また軍やそれに関わる軍事産業の人間もこれで予算が増える事もあり、皆大いに喜んでいたという。
この下りがどうにもマッドサイエンティスト的だと思ってしまう。


 ところでスラヴァ級に搭載された巨大対艦ミサイルだが射程1000kmにも及ぶ為、誘導には偵察衛星・偵察機・レーダー基地などを含むウスペク型(後にレジェンダ型)と呼ばれる総合誘導システムが必要な実に大がかりなものだった。ミサイルを使うために地球全域に及ぶ衛星網が構築され、常にアメリカの空母艦隊の位置が監視され、いざと言うときはその情報を元にはるか遠方からミサイルが誘導されるのである。
 こうして書くと実に大がかりなシステムに見えるし、事実ソ連崩壊の一因はこうした巨大なインフラの維持費にもあるのだが、実は今や軍に限らず多くのインフラはこうした地球規模の大がかりな物になっているのを知ってるだろうか。
 一番象徴的なのは携帯電話で、今や多くの機種に搭載されているGPSは地球全域を取り囲む30個あまりもの衛星を使って位置を割り出し、通話やネットも海底ケーブルや衛星網を使って行われる。いまや我々の日常生活は冷戦時代の米ソもかくやという地球規模の大がかりなシステムに寄って支えられているのが現状だ。
 旧ソ連はこうしたインフラを結局は維持しきれなかったが、果たして我々の生活を支えるインフラは維持しきれるのだろうか。

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